その瞬間鈍い音がした。
「おい陽斗。雪乃に触るんじゃねぇ。お前に指図されることじゃねぇんだよ」
そう言い放ち、虫の居所が悪いのか再び殴ろうと手を上に上げる。
思わず私はその手を掴んだ。
「雪良、ごめん、私が悪いから、、だからこれ以上殴らないであげて?...これ以上怒らないでよ、雪良」
そう言うと、雪良は拳を下ろしてくれた。
「陽斗、ほかのやつにも言っとけ。雪乃に触っていいのは俺だけだ、とな」
そう無理なことを言って部屋を出て行った。
すぐに後を追おうとしたが、痛そうに起き上がる陽斗が目に入った。
「あの、ごめんなさい、私のせいで。でも雪良は悪い人じゃ、ないから、、だから、嫌わないで欲しい」
そして私も自分勝手なお願いをした。
やっぱり私と雪良って似てるのかも。
こんな状況の中でふとそう思った。
「いや、大丈夫だよ、知ってて一緒に居るんだから」
そう言って笑う陽斗にホッと胸を撫で下ろした。
「では、失礼します」
そう言って急いで雪良の元へと走った。