あいつ、雪乃が去ってから。


真帆は足元から崩れ落ち、智も壁に寄りかかって下を向いたまんま。



そんな2人を見てみんな黙ったまま時間がすぎていた。



「...おい、お前ら。さっきの言葉が本音だと思ったのか?」


俺はそう問いただした。

何故なら俺自身あの言葉が本音だとは思わなかったからだ。


顔を上げこちらを見た智。

「...思わなかった、いや思いたくねぇよ。でも、、」


苦しい顔をする智を見て、伊織が言う。


「俺は言わされた言葉だと思った。..あのときのあの子の顔が、苦しく何か叫んでいるようだったから...」


伊織は他人の感情を読み取れやすい。

過去にいろいろあったからな。。



「でも誰からそんな指示されるんだろ..」


悩むように呟く誠一郎を見て、俺は智に問う。


「おい智。あいつ、何かに苦しんだり、誰かに何かされてたりしねぇの?」


それを聞いた智は思い当たることがあったようで、辛い顔をした。


そして口を開く。


「あいつは2年前から少し変わった。...特定の男ならまだしも、援交を始めて...しばらくしたら笑わなくなって、たまに傷作ってるときもあって。その時は精神的につらいって言ってたんだ。だからもう援交をしない約束を3人で交わして、ようやく1年前に落ち着いてきてたんだ」


そう俺たちの知らないことを語り、一息つく。



「でも、結局これだよ。...正直あいつのことはよく分かった気でいたが、、今はさっぱりわからねぇ」