ここは、私が働く小さなcafe。

オーナーの、戸川敦さんに一目惚れして、何とかここのスタッフにしてもらって早、5年。

今年もこの時期がやってきた。と、言うのも、1年で最もウチのお店が繁盛する2日間、クリスマスだ。

イヴと当日はウチのお店もひっきりなしに人が押し寄せる、クリスマスの人気定番のお店となった。

遡ること、5年前、

私はオーナーに一目惚れにしてここで働かせてください!と頭を下げたのは高校生の時だった。

最初、断られ続けていた。それでも私は諦めきれず、何度も通い、頭を下げ続けた。

そんな私に根負けしたオーナーはここで働かせてくれることを認めてくれた。

けど、当時はまだここも、出来たばかりでそれほど客足も良くなかったし、どころか、周りにひしめく、王手のコーヒーチェーンや、カフェが多く、ウチには、大したものもなく、お客さんは中々来なかった。

そんな状況が続いていた、ある日、オーナーから私はいきなりこんなことを提案された。

『クリスマスの日、店の前でミニスカサンタの格好をして客引きをしてくれ』と言うものだった。

そんな… 恥ずかしいし、寒いから嫌だと最初は思った。

けど、オーナーは真剣に私に毎日、言い続けた。大好きなオーナーを救う為だ!と私は覚悟を決めた。

そして、迎えるイヴの日、

私は覚悟を決めて、ミニスカサンタのコスで店の前に立った。

『イヴへようこそ~今宵、私たちが貴方を素敵なクリスマスへと誘います~幸あるクリスマスをお過ごしください』と言い、カップル達を振り向かせた。

ウチのカフェの名前はイヴ、そして、私は聖夜と書いてサヤ

クリスマスらしくて、ロマンチックだなぁって正直思った。

私は数名を中に導くと、そのまま接客をした。

クリスマスという素敵な1日を過ごして貰えるように、私は出来る限りのおもてなしをしたつもりだった。

数日後、何気なく見ていたSNSにサンタの私が映っていた。

そこには

#ロマンチックなクリスマスや、

#可愛いサンタさん

#素敵なお店

#ザ!クリスマス

等と言った様々な#がつけられて、私とお店が紹介されてあった。

それからお店は若者の間で大人気となり、5年経った今も人気は上がり続けている。