そんなこと言う勇気は、私にはない。


「ありがとう」


そう笑った顔にキュンって胸がなる。


でも、私は王子様みたいな笑顔じゃなくて、水瀬君の少し意地悪な素の笑みが好きだなあ。


『5分後に、文化祭を開幕します。生徒の皆さんは持ち場に移動してください』


放送が流れ、私は教室の隅っこに移動する。


水瀬君も私の隣に立った。


私たちと紗里奈、如月君が接客。


仲がいいのを見かねて、一緒にしてくれたんだと思う。


他の子も、仲良い子とシフトが一緒だったり、係が同じところだったりしてて、ほんと実行委員の子には、頭が上がらない。


『これより、文化祭を開催します』


校庭を見れば、その言葉を聞いた人たちが続々と入ってくる。


文化祭は、一般公開するから1日だけだけどかなりのお客さんが入る。