素直 SIDE





今、雷がヤバいの。



正直、今はだれの力でも借りたい。
たとえ相手が、令和のたらしだとしても。



わざとらしくのんびり入浴している理太にしびれをきらしたあたしは、たった今ガスを止めた。


兵糧攻めだよ。



「さっむ……」



でも……文句のひとつも言わず冷水に耐えてくるとは思わなかったの。


『急いで風呂出るからガスつけて!』と頼み込んでくると思ってやったの……!



あぁ、理太……。



「ご……。ごめん」



がたがたと震えているゆるいスウェット姿の理太。



「ひどいよね。俺、急いだのに……」



理太の前だと、あたしはなんだかいつも嫌がらせしてる気がする!



男として見たら最低最悪の下衆の極みだとしても、友達として見たらそんなに悪い人ではないのに。



ポンっと顔を出す罪悪感に土下座したくなる。



けど、そんなことしても何の意味も無ゴロゴロドーン!!!



「ひゃああああ!!」



頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。



あたしは雷が……世界一きらいだ。



ていうか雷なんか好きな人いないよね。


もしいたら友達になれないタイプ。



「そんな怖い? 俺けっこう雷って好き」


「かー!」


こいつとは友達になれない。