「おい、久遠!久遠!しっかりしろ!久遠!」


嘘だろ?

オレは久遠の首と手に触れた。

大丈夫だ。

温かい。

脈もある。

だが、久遠は目を覚まさない。


「久遠!おい!久遠!何があった?!言ってくれ!オレだ!ワンコだ!安心しろ!目を開けろ!なぁ、久遠!」

「う......」

「久遠...」


細くて白い手がぴくりと動いた。

目もゆっくりと開いていく。

オレは顔を近づけた。


「オレだ。分かるか?」


オレがそう聞いた直後だった。

久遠はオレの手のひらに自分の手を重ねて、こう呟いた。




「私......部長失格です......」