朝食が済んだあと、私の腰を抱いてネイトが移動した。
 ドアを開けるとキングサイズのベッドが。

「玲奈」

 ネイトが後ろから私を抱きしめる。
 お腹に手を回されて、肩にキスされた。

「君の中に入りたい」
「え、無理」

 即答してしまった。
 ドア一枚隔てて、人がいるのに!

「この部屋にこもった時点でシてるとみなされてるよ。だったら愛し合った方が得じゃないか?」

 慌てて向き合えば、ネイトがキラキラな笑顔を浮かべている。
 この人、真っ黒なことを考えてるほど、眩しい笑顔するのよ……。


 そうだ。
 オーストリアでネイトのお父様にお会いしたら、しばらく離れ離れになるんだった。
 彼はいつでも飛んできてくれると言ったけど、今度はいつ逢えるのかすらわからない。
 寂しいひとり寝のために、思い出すことは多いほうがいい。

 私はふううう、と大きく息を吐き出すとネイトの首に手を回す。
 恥ずかしい気持ちは空に放り出す。

「ダーリン、私を愛してちょうだい」
「たっぷりとね」