自業自得だけど、犯人の命が心配。
 あ。

「……いまさらに私がネイトをハニートラップに嵌めたわけではなかったこと、わかってもらってよかったぁ……」
「いや。玲奈は僕を罠に堕としたよ」
「え?」

 ネイトの瞳が真剣だった。

「まっ逆さまにね。もっとも、脱出するつもりもないが」

 声も表情も甘い。
 私の唇が勝手に言葉を紡ぎだす。

「抜け出さないで。一生、傍にいて」
「仰せのままに」

 ネイトが私をみつめながら、彼にすがりついていた私の左手をもちあげて薬指を唇にあてた。

 ドアが小さくノックされた。ネイトがシャワーの勢いを弱くする。

「It seems that both the criminal have secured their identities.
(犯人の身柄を確保したそうだ)」

 肉声だった。