異世界猫。王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます

 トリップしていたような感覚から覚めた。

「あ、終わったんだねマリカ。僕も隣で別の本見てたけど今終わった所」

 あ、アーサー。

「そういえばね、タビィに聞いてみたけど魔力紋ゲートの新規登録は今日はできないんだって。管理者のニムダってギアが居ないとダメらしんだけど、今日はお休みらしい」

 ああ、そっか。アリアたちお外で待ってるし……。

 って、ギア?

「まだ放心状態? 意識戻らない? 大丈夫?」

 はう。なんだかやっと現実に帰ってきた、そんな感じ。

「あ、ごめんなさいアーサーさま。もう大丈夫です」

 あたしは頭を振ると、そう答えた。

 あう、でも、まだ頭の中はさっきの映像の記憶の奔流にふらふらだ。

 同じフレーズが頭の中でぐるぐる回っている。

 魔道王国ラスレイズ、と。そう。

 伝説の太古の魔道王国。

 今の魔・ギアの技術もギアたちも、当時の技術のママ現代に伝わっているという話。

 でも、遺跡自体はそれよりも前の時代のものだという。神が降臨した時にその場所を中心に建てられた、と。

 レティーナ様に習った世界の成り立ち、神話。

 遺跡についての本というのは結局その神話の記録でもあって。

 例の魔の森の奥に眠るケンタウリ遺跡。其処こそがかって神が降臨したその場所そのものであるのだと。

 遺跡の地下深くに眠る筈の天翔る船。

 其処には今も、かつての神々が眠っているのだ、と。


 伝説の魔道王国が滅んでからすでに1000年以上経っている。そうやって考えるとこの子たち、フロスティとタビィってそんな昔からずっとこの場所を守っているのかな。なんだか感慨深いな。



「遺跡の本はもういいので、次は異世界に関する本があればお願いできますか?」

「異世界、で、ございますか? 童話、や、御伽噺を集めた物。空想小説などのおはなし。学術的な論文など。と、ジャンルいろいろがありますが、どちらをご希望でしょう」

「うーん。あまり難しく無い学術的な物があると嬉しいのですけど……」

「わかりました。取り揃えて参りますのでお待ち下さい」

 と、フロスティは遺跡関連の本をワゴンに綺麗に乗せ、部屋を出ていった。

 遺跡関連は結局神話の域を出ていない物ばかりで、参考にはなったけれどそれ以上の収穫は無かった。

「異世界、かい?」

「ええ。アーサーさま。今回の旅の目的はアリアを元世界に返してあげる手がかりを探すためだったんですけど……」

「元世界?」

 あ、しまった。

 アリアの素性はまだ話してなかったっけ。

 でもまぁ。

 アーサーなら信用できる。それだけは間違いないし。

 あたしはアリアと出会ったときに聞いた話なんかをアーサーに話した。彼女をなんとかして元の世界に返してあげたいって思ってることも。

 そして今回の旅の目的がそのヒントを探すことであることも。

「なるほどね。それはとっても興味深い話だけど、そう簡単にいくかなぁ?」

 はう?

「だって、任意の異世界に行く方法なんて存在しない筈だよ?」

 えーー? そうなの!?