ひゅん!

 空を(かける)は白銀の鱗、真竜シルバーエレメンタルクリスタル。

 その口から白銀のブリザードが放たれる。


 あたしは左手を突き出しカノープスの盾を展開。

 前面に球状に広がるその透明な盾は、あたしの身体だけでなくその背後までをも護る。

 すかさず次元断層を展開したあたしは背後の守りを固めそのシルバーエレメンタルクリスタルに抱きつかんかの勢いで跳んだ。


「捕まえた!」

「クオーン!」

 真竜シルバーエレメンタルクリスタルは、一瞬にしてその巨体を猫ほどの姿に変え、あたしに頭を擦り付けてくる。

 あはは。

 かわいい。



「はい。そこまで」

 空間が縮む。

 それまで外の森林の上空に見えていたその場所が、小さめの競技場ほどの広さの場所に変化した。

 完全に屋内であるその場所に、声が響く。

「お疲れ様ですマリカ。やはり貴女は覚えが早いですね」

 あたしは真竜を抱いたままピットに戻る。

 待っていたのは男性の姿をしたレティーナさまと、そして白騎士団団長のケイン・フェリス様だった。

「キュイ! キュイ!」

 あうあうこの子、フェリス様に会えて嬉しいの?

「ああドラコ。わたしのこと覚えててくれたのかい?」

「キュイ!」

 子猫サイズになったエレメンタルドラゴン、真竜シルバーエレメンタルクリスタルは、その硬そうだった鱗ももふもふの羽毛に変わって。

 あたしの腕の中から抜け出し飛び立ってフェリスさまに飛びついた。

 もう、あたしの時より喜んでるんじゃない? この子。

 ドラコはその頭をフェリスさまの胸に擦り付けて甘えてる。


 ふと。ドラコに戯れられて笑顔になってるフェリスさまと目が合ったあたしは軽く会釈をして。

 フェリスさまも、

「はじめましてマリカ。白騎士団のフェリスです。それにしても、まだ新人だとはとても思えない。うちの専属聖女よりも(ランク)が上かもしれませんね」

 と、右手をさしだした。

「はじめまして団長さま。マリカ・ホンジョーです。聖女の修行始めたばかりの初心者ですが、頑張りますのでよろしくお願いします」

 そう言ってあたし、心の中でぺろっと舌を出して。

 しれっとフェリスさまと握手をしたのだった。