〇牢屋

「君を助けたいが、周りを説得出来なかった。
 それもこれも、謀反を起した君の父が全て悪い」
騎士の格好をした男が、牢屋の中にいる貴族の女性に言った。

「フン、そんなの解ってるわ。今更何しに来たの?」
「これを渡す様に頼まれてね ジェイル」
ハルクが魔法を唱えると白く光る玉が、牢屋にいる女性の手元に移動した。

「何これ?」
全体が赤色で、外側に白いドラゴンが描かれた指輪を持って聞いた。

「さぁ~ 渡せば解ると言ったけど?」
「解らないわ。誰に頼まれたの?」
「それは...」
「ハルク隊長大変です」
部下が慌ててやって来た。

「何だ?」
「実は」
報告を受けるハルク

「解った直ぐ行く」
「ハ」
敬礼して去っていった。

「アントワネットが女の子を生んでくれたんだ。
 早く子供の顔を見ないとね」
ニコリと笑うハルク。

「幸せそうね」
    ・・・・・・・
「ああ。君と別れて正解だったよ」
「そうですか、そうですか、それは良かったわね」
皮肉たっぷりに言った。

「それじゃ行くよ」
「ちょっと待って、誰に頼まれたの?」
「どーうせ処刑されるんだから、知っても一緒だろ。
 バカが。アハハハハ」
お腹を抱えて笑った。

「本当に性格悪いわね」
「今ごろ、知ったのかよ アハハハハ。じゃあなアイ」
ハルクは去っていった

「あ~~~~~~ムカつく~~~~~( ̄△ ̄)!!」
指輪をポイッと投げた。
      ・・・・・・・・・・・
「せっかく、2回目の人生をやり直す時のヒントになると思ったのに~」

「まぁいいわ。
 私を裏切った幼馴染で婚約破棄をしたハルク。
 私から婚約者を奪った人気者のアントワネット
 私を死に追いやった父に、ギャフンと言わせて見せるわ。
 
 さぁ~これからが2回目のスタートよ」

「リベンジ」
アイが魔法を唱えると、体が虹色に光り消えた。

そして、捨てられていた指輪の白いドラゴンの目が赤く光ると、空中に赤い魔方陣が描かれ、書き終わると指輪が徐々に浮き上り魔方陣の中に入って消えた。


〇????

「うん? 上手く戻れた見たいね。
 そにれしても何か全部大きく見えるわね・・・
 キャーーーーーウソーーーーーーー!!
 私、赤ちゃんになってる~~~~∑(°д°)」
キョロキョロ辺りを見渡した後に、自分の体を見てビックリするアイ。

「何でここまで戻ったの? 
 1回目と一緒の魔法貴族学校の入学式で良かったのに~
 あ~もう~そこまで進めるのが面倒~」
赤ちゃん用のベッドに横になって、1回目の事を思い出した。
                   ・・
私は悪役令嬢に転生した事務で働く35歳独身。
これでも、付き合った事はある。
でも、キ、キスをした事ないのよね~
大抵、体の関係を拒んで別かれてしまうの(TдT)シクシク

結婚するまでは、そうゆう事したらダメだと思うから....。
周りから解ってくれる男なんて、世界中探してもいないと言われてしまった。

でも、こっちの世界に来て胸が躍ったわ。
だって、ここなら私の理想を変えてくれる男に出会えると思ったの。

だから、魔法貴族学校で理想の相手を探したの。
そしたら、おとぎ話に出てくる様な王子様がいたの♪♪
性格も穏やかでカリスマ性がある。
しかもイケメン。
大事だからもう一度言うよ。イケメンなの~~~(^〇^)/

王子様の性格なら結婚するまで、約束を守ってくれそうだったからアタックしようと心に誓った。

そして、私の夢であるキ、キスするの(≧∀≦)‼
色々な人に聞くけど、キ、キスって良いらしいわ~
ど、どんな感じなんだろう・・・・( ̄▽ ̄)デヘヘヘ

赤ちゃんの姿で、( ̄▽ ̄)ニヤリと笑いながら、よだれを垂らし妄想していた。

「はΣ(゚д゚)
 いけない。いけない。私、何を想像してのかしら。
 はしたないわ・・・・( ̄▽ ̄)ヘヘヘ」
また( ̄▽ ̄)ニヤニヤ、キスの妄想をし始めた。

・・・5分後
( ̄▽ ̄)ヘヘへへ

・・・30分後
( ̄▽ ̄)ウヘヘヘヘヘ

・・・6時間後
( ̄▽ ̄)ZZZZZ

・・・・6時間も妄想してようやく眠りについた。

そして、魔法貴族学校の事が夢に出てきた。

王子様の気を引くためには、お色気作戦をしようと思ったけど、私は美人じゃないしスタイルも良くない。
いや、はっきり言ってデブ。

でも、私には強力な魔法やランクが高い使い魔がいたので、これを使ってアピールしようと思ったの。

ところが、私の天敵で皆の人気者アントワネットが邪魔をしてきた。
色々な勝負に勝ったのに、皆から同情されて私が悪者になる一方だった。

さらに、親同士がアントワネットと王子様の婚約を決めてしまったの。あんなに頑張ったのにのに~(×_×)トホホ

私の力ではどうす事も出来ないので、やる気を失った私は学校を退学した時に、幼なじみのハルクが声をかけてきた。

私は覚えてなかったけど、どうやら小さい頃良く遊んでいたらしい。ハルクは、気さくで筋肉質でイケメンなの。
直ぐに気に入ってしまった。
知っていたけど、私、イケメンが好きみたい( ̄▽ ̄)ニヤリ

ハルクが作った傭兵団に入らないかと誘われたんだけど、
あんまり興味ないから断ろうと思って「結婚をしてくれたら入っても良いよ」と言ったら、
「騎士団に昇格したら結婚しても良い」と言った。

凄く驚いたけど、これはチャンスと思った。
だって、気になる~と思っていた人よ。
話が合ってイケメンなのよ。イケメン( ̄〇 ̄)!!
イケメンに『結婚してくれ』と言われたら、断る理由なんてないから直ぐに傭兵団に入ったの。

今思えば、この選択が破滅の一歩だったな~( ̄3 ̄)!!

傭兵団では戦闘もやったけど、主に裏方の仕事をした。
だって、傭兵団の連中は戦う事しか頭に無いから、お金の管理がザルだしプライドが高いので、仕事もなかなか入らない状態だった。

事務の経験を活かして、お金の管理など上手くこなしたの。
(^3^)ふぅ~あの時は大変だったな~

1年で傭兵団が有名になって、国から騎士団に入らないかと誘われたの。ようやくハルクと結婚出来ると思ったら、
「もっと出世をしたいから、身分が高い女性と結婚する」と言ってきたの。

ふざけるなーーーーーーーー( ̄△ ̄)!!
私の1年返せーーーーーーーと思ったわ。

結局、利用するだけ利用して、いらなくなったらポイッと私を捨てたの。

しかも、相手は私の天敵アントワネットだったの。
あんた、王子様と結婚するんじゃなかったのーーーー!!

アイは1回目の嫌な事を思い出し、ぱっと目を見開いて眉間にシワを寄せながら小さな握り拳を作って、怒りでフルフルと体が震えていた。

「ばあああああああああああ( ̄〇 ̄)!!」
突然、ぬいぐるみの様な可愛いペンギンが目の前に現れた。

「・・・・・・・」
「あれ? おかしいな~驚かないぞ? 
 目を開けたまま眠っているのかな?」
「起きてるわよ」
「ええええええええええええええ∑(°д°)!!!!!」
目を丸くして驚くペンギンだった。

「何をそんなに驚いてるの?」
首を傾げながら聞いた。

「赤ん坊なのに喋ってる∑(°д°)!!」
「なるほど、そうゆう事ね」
ムクリと小さな体を起こした。

ぬいぐるみの様なペンギンは、ペンタと言う最低Cランクの精霊で、赤ん坊や子供を驚かすのが趣味。
だけど、凄く可愛いので子供達を喜ばす事が多い。
毎回驚かせる事が出来ずに、へ込んでいる変な精霊。

「は、初めて見た~~~~~~∑(°д°)!!
 赤ん坊が普通に喋るのを」
「驚かそうとしたあんたが、
 驚いてどうするか~い( ̄〇 ̄)ペシペシ」
思わずツッコミを入れてしまったアイ。

「お、ほん。ボクはこう見えても物知りなんだ。
 何か聞きたい事でもあるかな?」
短い両手を腰に置いて自信満々の顔をした。
 
「無い」
そっけない声で言った。

「え~~~~~。そんな事言わないでよ~。
 せっかく来たんだしさぁ~~~(TдT)」
両手を揃えて懇願するペンタ。
     ・・・・・・
「だって、あんたに1回説明を受けたから良い」
「え? 君に会った事あったけ?」
「!!!!!!」

(そうだった。
 私が2回目の人生をスタートした事を知らないんだった。 色々聞かれると面倒だから、
 ここは何も知らないフリをした方が良いのか)

「( ̄▽ ̄)エへへへ。私の勘違い。私の勘違い。夢であなたの様な精霊に会ったから。そう思ったんだわ」
「な~~んだ。そうなんだ」
納得した表情のペンタ。

(ふぅ~~。単純で良かった( ̄3 ̄)~)
ほっと胸を()で下ろした。

「何か質問は無いかな?」
「別に・・・・と思ったけど、
 この世界の事について知りたいな~」
(面倒だけど、何か質問しないと帰って貰えそうにないから、1回目と同じ質問をしよう)

「しょうがないなぁ~。この世界はね・・・」
ペンタは嬉しそうに話し始めた。

ペンタの話は長いので、簡単に説明しよう( ̄〇 ̄)!!

このムンムン世界では、人間とモンスターが共存している。
私が今いる所は、金剛(こんごう)という国。

この国は貴族と平民の身分制度がある。大きな違いは魔法が使えるのが貴族で、使えないのが平民。貴族が所有している領地に平民が働いている。

貴族の中にも身分が分かれる。
===================================================
身分の高い順

第1公爵(こうしゃく):次の国王候補で、実力がある王子が選ばれる
第2公爵(こうしゃく):王の兄弟や王子などの王族
第3公爵(こうしゃく):有力貴族
第1伯爵(はくしゃく):軍師や王の側近
第2伯爵(はくしゃく):大臣
男爵(だんしゃく):その他の貴族

※有力貴族が大臣や軍師の役職に付く場合もある。
===================================================

ちなみに私のシン家の身分は男爵(だんしゃく)
つまり、貴族だけど身分は1番下なの。

「それで他に聞きたい事はない?」
「無い無い。もう帰って良いわよ」
ぺんたが説明し終わったので、アイはシッシと追い払うように手を振った。

「ヤダ」
「へ?」
「ヤダヤダヤダヤダヤダ。もっと話がしたい」
空中で左右に転がりながら、子供の様に駄々をこねた。

「子供じゃないんだから、用が無いんだったら帰りなさい」
「だって、話すの久しぶりだから帰りたくない。
 お願い話をしよう~」
ウルウルした目で見つめてきた。

(か、か、可愛い~~~~(^〇^)/ 
 だって、ペンギンのぬいぐるみが、
 ウルウルした目で私を見つめているのよ。
 可愛いに決まってるわ。
 どうしようかな~( ̄▽ ̄)へへへ)
アイは、悪い顔になって( ̄▽ ̄)ニヤニヤした。

「あれ? なんだこれ?」
ペンタが空中を移動して、ベッドにある全体が赤く白いドラゴンが描かれていた指輪を見つけた。

「それは、私が捨てたはずの指輪だ。なぜここに?」
首を傾げるアイ

「おんぎゃ~おんぎゃ~」
突然、赤ちゃんが泣いている声がした。

「もしかして、ミルル?」
隣の赤ちゃん用のベッドを覗いた。
そこには、金髪の女の子の赤ちゃんがいた。

(双子のミルルは、私に似てなくて美人で素直な良い子なのよね~)

「やっぱり、可愛いわね~。ミルルが泣いているわ。
 ペンタ仕事よ。驚かせて」
「フフフ。ボクの出番だね。バアアアアアア」
ペンタはミルルの方に移動して、驚かせた。

「キャァキャァキャァ」
ミルルは泣きやみ大喜びした。

「(×_×)ガーーーン。
 ・・・・・
 いつもの様に、全然驚いてくれないよう~」
ペンタは、いつもの様にへ込んでしまった(TдT)シクシク

「Good Job!! ペンタ。よくやったわ( ̄▽ ̄)!!」
こうなる事を予想していたアイは、ペンタに向って親指を立てて褒めた。

すると、黒い魔法陣が地面や両方の壁や天井に4つ描かれ始めた。

「何これ? 魔法陣が4つもあるわ。何が起こるの?」
4つの魔法陣の中心に黒くて丸い光が徐々に大きくなった。

指輪の白いドラゴンの目が赤く光ったが、アイ達は目の前の出来事に夢中で、気づいていなかった。
 
そして、アイの目の前に謎の物が現れた。

「え?∑(°д°) 何でここにいる?」
出現した物に驚くアイだった。