それが君の口癖。

苦しさの中に快感を覚えるようにしていた。
そうでないと心がいくつあっても足りなかった。
愛しているとか薄っぺらい御託を並べては、
綺麗な夜を何度も作り上げた。


「好きだよ。」

それだけが精一杯の答えだった。

見上げた夜空に星が散らばるのは、
髪を飾るためだとばかり思う。


恋をして愛を知ると、
こんなにも人間は弱いものなのかと。

痛々しいほど腫れた傷を舐め合って、
どうとでもなれと匙を投げる。


お決まりの口癖は、
「どうでもいいよ。」
だけだった。