私がかいつまんで、事情を説明すると、

「大変なんだね。いっそ、お父さんを入院させて、治療に専念してもらったらどう?」

と、金坂さんは言う。

でも……

「いつ退院できるか分からない状況だと、私たちは児童養護施設に行かなきゃいけなくなるから……」

そうすると、弟は転校しなければいけなくなる。

「そっか。簡単にはいかないんだな」

金坂さんが残念そうに言う。

「ううん。
 心配してくださってありがとうございます」

きっと優しい人なんだろう。

私たちは、夜道を15分ほど自転車を漕いで私の家に着いた。

「ありがとうございました。金坂さんもお気をつけて」

私はそう言って彼を見送った。