すると彼は黙って私の腕のリボンを掴むとスルリとほどいてしまった。


「あっ……」


ラブラブ競争に出てもらうために、私と拓海くんを繋いでいたリボン。


拓海くんの方に目を向けたら彼は抵抗する風でもなくて。


はあっーて大きなため息をついてから、こう言った。


「花、こいつ可哀そうだから最後に一緒に走ってあげたら?」


冷静な声でそう言ったかと思うと、千景くんに一歩近づく。


「おいっ、これ以上花を泣かせたら今度こそ許さないからな」


拓海くんは珍しく低い声でそう言ってパンッと千景くんの胸のあたりを平手で叩く。


千景くんは驚いたように目を見開いた。


「悔しいけど今の花には俺の言葉は届かないから」


拓海くんは寂しそうに笑う。


「でも忘れんなよ。いつでも俺が後ろにいるんだからな」


これに対して千景くんは神妙に頷いた。