1日10分ていうのも結局はいやいや付き合う彼の逃げ道のようなものだったのかな。


それくらいなら付き合っても我慢ができるって思ったのかな。


私ってほんとバカみたい。


そんなの変だって、普通に考えたらわかることだよね。


でも、信じていたかったんだ。


今も本当はまだ彼のことをちっとも諦めきれない。


いつか忘れられる日がくるとも全然思えない。


自分でも抑えられないくらいに思いはどんどん膨らんでいった。


もうこの先こんな感情を他の誰かに傾けることなんて絶対にないって思えるくらいに。


私のたったひとつの大切な恋だったのに。




(実行委員長の鷹月さん、至急本部へお戻りください)


放心しながらよろよろ歩いていたけれど、何度も放送で呼びだされてようやくハッと我に返った。


いけない、早くいかなきゃ。


走って本部のあるテントに戻ると、いくつか問題が発生していた。


私が不在だったから委員の子たちが軽くパニックになっていた。


「委員長どうしましょう」


「委員長、こっちも大変です」


「は、はい」