彼だって先生に何度も呼びだされたりして、いい迷惑だったんだろうな。


だから、もう彼を開放してあげないといけないよね。


逃げる私をすぐさま追いかけてきてくれただけで、満足だって思わないと。


『もういいってなにがだよ?』


あの時私の腕を強い力でつかまえてくれた彼。


ねえ、どうして君に触れられただけでこんなに胸が熱くなるの?


こんなに辛いはずなのに、君がそばにいるだけで私は……。


『今までごめんなさい、もうこれきりに』


喉の奥から絞り出すように出したサヨナラのサイン。


『花』


本当は君の、嫌だ別れたくないって言葉が聞けることを期待してた。


だけどそれはかなうはずもない夢で……。


本当は心のどこかで、わかっていたような気がする。


それなのにどうしてこんなに、悲しくなってしまうんだろう。


たぶんそれは、彼が否定してくれなかったから。