(side花)


ああ、どうしよう。


ほんとうに幸せすぎて怖いよ。


たぶん私いま人生の頂点だから。


1年半の片思いの恋がようやく花開こうとしているような気がして。


昨日の昼休みの出来事を何百回も思い出しては、うっとりして甘いため息をついている。


ついに、ようやく、とうとう、彼とキスしてしまった。


しかも彼の方からしてくれた。


どうして私にキスしてくれたのって彼に聞くことは恥ずかしくて出来ないけど。


たぶん、泣いている私を慰めようとしてくれたんだろうな。


あの時、中庭に突然現れた拓海くんに昔のことを暴露されて悲しくて逃げ出してしまったんだ。


千景くんの目の前で、あんな話はして欲しくなかった。


だって、私の王子さまは千景くんだけ。


正真正銘、私の初恋。


初めては全部全部、千景くんに捧げたかった。