教室にいる拓海くんの方をチラッと見ながら低い声で言う彼。


それから口元に手をやって考え込むように黙ってしまった。


「お姉ちゃんをとられたような気持ちで悔しいのかな。アハ、アハハ」


どう反応していいのかわからなくて、頭の後ろに手をやり変な愛想笑いをしてしまった。


そんなことを言われたって、私の方は何とも思ってやしないんだもん。


拓海くんは私にとっては、友達以上でも以下でもないんだから。


あれ、でもこれってちょっと。


千景くんもしかしたらヤキモチ妬いてくれてるのかな?


もしそうだとしたらめちゃめちゃ嬉しいんだけど。


「あ、そうだ。忘れてた」


押し黙っていた彼はハッとしたように腕時計を見た。


「7分か……」


「あ、ごめん」


あと3分ってこと?


時間にシビアなまでにきっちりしている彼。