――『会いにいくよ』


会長は、そう言ってくれたのに。


会いたい、の一言さえ、私は言えなかった。


それなのに、お客さんが来るたび、それが会長じゃないことにがっかりしている自分がいて。

毎日、無駄に疲れてしまう。


今日はゆっくりお風呂に入って、早く寝よう。

きょうちゃんより先にシフトを終えて、帰り支度をしながら考える。


薄ピンクの制服を畳んでバッグの中に詰めこんだ時、バッグの中にあったスマホが震えた。



「……!」


私はバッタでも捕まえるかのような勢いで、スマホを手に取る。

画面には、流奈さんの名前が。


…がっかりするなんて、失礼な話だ。


そう思って、私は元気よく電話に出る。