君は僕に会いに来ると約束した、だから僕も君に会いに行く。


 もう少しだけ待っててくれ夏希。


 やがて僕は今にも届きそうな峰へと背を向け、永遠に広がる白と青にしばしの別れを告げる。


 ここに赴くもあと一回。高度順応を終え、君に会いに行くその時だけだ。


  果てなく連なるヒマラヤ山脈。そこに降り積もる透き通る様な純白を見下ろした時、僕はある種の既視感を感じていた。


 あの日二人で見た白。その答えは、未だ見つかっていない……


 それはある秋の幻。始まりは時雨の音と共に——