わたしのうちに“あの男”がやってきたのは とある休日の朝のことだった。 数週間ぶりに会った彼は 気品に溢れていて 「いい子にしてた?」 危ないことしているようには、見えなくて。 「……こんにちは」 「待ちくたびれちゃった?」 会って話したいことが、たくさんあった。 聞きたいことが、たくさんあった。 だけどなにより 「お散歩しようか」 「はい!」 目の前の男を見て 心から安心している自分が、いた。