怖くて相手の顔が見られない。


なんで、
こんなことになっちゃったんだろう。


わたしは、ただ

普通に中学生活が送りたいだけ……
だったのに。


もう、戻れない。


現実で起きてしまったことを

ゲームみたいにボタン一つでリセットすることなんて、できない。


わたしは……犯罪者。


やってはいけないことをした。


悪い子だ。


(お母さん。……ごめんなさい)


ギュッと唇を噛みしめたとき、男が口を開いた。


「ずっとキミのこと()てた」


…………?


「ずっ……と?」


消えそうな声でつぶやく。


「うん」


――――どうして?


こんな状況なのに

男の声は、妙に穏やかで


「ずっと。視てた」


少なくとも

わたしを叱りつける様子なんて
微塵もうかがえなくて


むしろ優しく包み込んでくれるような

そんな気さえして


調子が、狂う。