――――無責任ですよ?
「……待って、ください」
立ち去ろうとする男のパーカーの裾を、掴む。
「どしたの。そよちゃん」
中途半端に謎を残して
現れるのも去るのも突然だなんて
「ありがとうございました」
「なにかお礼言われるようなことしたかな、僕」
あまりにも無責任です。
「はやく帰んなよ。ここで見ててあげるから」
わたしが家に入ったら
このひとは
闇にまみれて消えてしまう。
また、どこかで
今日みたいなことを?
悪いひとを
……モンスターを狩り続けるんですか?
「あ、そうだ」
男がポケットからなにかを取り出す。
わたしの手を自分のパーカーから離すと
わたしの手のひらの上に
そっと、それを置いてくる。
「……リップクリーム?」
街灯の下で見るそれは
淡い水色が、水中みたいだった。
「キミには派手なネイルやコスメなんかよりも。そういうのが似合うと思うんだ」
「……え?」
「わるーい魔法つかいからの。プレゼントさ」


