カイくんがお店から出ていったあと
土屋さんが、なにも言わずにホットチョコレートを出してくれた。
「……あったかい」
「アイツのことなら、気にするな。あれがデフォだ。手段も選ばなければ、平気で仲間さえ利用する」
わたしの手首には、カイくんに強く握られた感覚が残っている。
「もっとも。俺たちのこと仲間だと思ってるかは疑わしいが」
ママにご飯ねだるカイくんも
ショウくんの前でお兄ちゃんなカイくんも
他人に興味ないようには、見えないよ。
「……きっと。思ってます」
「取っつきやすそうで。アイツは本当の自分を見せない」
本当の……自分。
「とはいえ。誰しもが多かれ少なかれ自分のことを取り繕ってるんだろうけどな」
人は、自分を、偽る。
「お前と出会って、ずいぶんと丸くなったように見えたが。わかったろ。アイツは……カイは。お前が関わるような男じゃねえ」


