…………前に?
「どうしてキミに立ち向かわせたか。わかる?」
「え……?」
「べつにキミの力を借りなくても、僕はあの子たちを追い詰められた。既に多くの証拠を掴んでいたし、なければ吐かせればいいだけ。ぶっちゃけそんなのなくても、どうにでも戦えちゃう。だけどそうしなかったのは。最後にキミに戦ってもらったのは。それがキミのためになると思ったから」
――――!
「キミは悪いことをしていないのに、ひどい目にあった。紛れもなく被害者だ。でもね。そういうことって、これから先にゼロとは言いきれない。僕は知っている。この世界には本当に多くの怪物が、いるって」
わたしの、ために?
「僕たちは、そのたびに助けてあげられるわけじゃないからさ。どうか。強く生きて欲しい」
強く、生きる……。
「今夜僕たちは、数えきれないほどいる怪物のうちの、ほんの数匹を狩った。それだけの話だ。あの子たちが消えたところで悲しむ人間よりも――喜ぶ人間の方が多いさ。長い目でみれば見るほどね。後悔することは、なに一つない。僕たちは。とてもいいことをした」


