「ただいま」
うちの玄関で靴を脱ぐ、カイくん。
いやいやいや。
なんで?
うちに、カイくんがやってきた。
洗面所で丁寧に手を洗うと、ドサッとリビングのソファに腰をおろす。
「どうしたの? キミも座りなよ」
住人よりも先にくつろいでいますが。
なにしてるんですか。
というか、うちに入ったの初めてなのに
手を洗う場所まで迷いなく歩きすすんだの、間取りが完全に把握されているってことですかね。
怖いです。
「それで。あの。……なぜ、うちに?」
「インスタントの。安い紅茶でいいよ」
はいはい! 飲み物ですね!
「どうぞ」
カイくんは差し出された紅茶をひとくち口に含むと、カップをテーブルへと置いた。
ごくりと紅茶を飲み込んだときに上下したのどぼとけに、不意にドキっとしてしまう。
……男のひとって女の子と全然ちがう。
細く見えて大きい肩幅とか
骨ばった手、とか。
いや、いきなり来て紅茶出せって命令されたんだけど。
図々しいな。
いや、まあ、お世話になりっぱなしというか。
色々恵んでもらっているから、このくらいどうってことない。
ところでカイくんがうちにいるってナニゴト。


