「間違える理由がよくわかりません」

「信じられないほどの暗記量。先生の"してやったり"な顔が思い浮かぶ、にっくき引っかけ。見たことのない――答えを聞いたところで解けない応用問題。思わぬところでしちゃうケアレスミス……うぅ、テストという魔物。おそるべし」

「なにが魔物ですか。あらかじめ範囲の指定されている試験なんですよね? その範囲も、見たところたいしたものじゃない。あんたがバカなだけだろ」


季節は変わり、春。


「あはは。辛辣(しんらつ)

「回答欄を早いうちにすべて埋めて、あまった時間で何度か見直しすればいいだけの話じゃないですか」

「それができたら苦労しないってー。ショウくん。いいかい? そよちゃんは、字が読めないの」

「字は読めます……!」


わたしは

ついに、受験生になった。


中学最後の一年。

いったいどんな年になるだろう。