いくら母親を恨んでいたからといって

ショウくんが親を棄てたがっていたとは

わたしには……思えない。


「ちゃーんと。飼い慣らしてね」


かい……なら……す?


「あの怪物(モンスター)が心を開いてるのは。そよちゃん。キミだけだから」

「わたし……?」

「そうさ。だから、そよちゃんが面倒みてあげなきゃ」


……もちろん。


わたしはショウくんのこと

見捨てたりなんてしません。


「キミの前での彼は。思いのほか人間らしい」

「らしいも、なにも。……ショウくんは人間です」


12歳の少年を

怪物扱いするカイくんは


奇妙なほどに穏やかに微笑んでいる。


「ちゃーんと捕まえててあげなよ」