「カイくん……って。……やっぱり。優しい」
「僕の言葉なんて、ただの思い付きで。その場限りのものさ」
ウソつき。
「キミが泣き止まないと面倒だから、慰めてあげる。それに、いま優しくしたら。もっと僕のこと好きになるだろうし」
「裏がある人は、そんなこと絶対に明かしません」
「裏の裏をかいてるかもしんないじゃん」
わたしの涙をぬぐったカイくんが、微笑んだ。
「ショウのお母さんのこと?」
言わなくても、わかっちゃうんですね。
「やりきれなくて」
「そう?」
「あの子の親が。あの子をお腹に宿してから、ほんの一瞬でも愛しいと感じたことはなかったのかなって」
欲しくなかった、なんて。
邪魔者だなんて。
あんまりじゃないですか。
「子供を愛してない親は。いるよ」
「……っ」
「平気で傷つけて、笑ってるような。道具にしたり。だから。僕らが見つけ次第、狩る」


