「……暇な時間は。本、読んでますね」
「ふーん。だからそんなに賢いんだ。でも。本って、単価高いでしょ」
「図書館を利用しているので」
「よく行くの?」
「そうですね。開く頃に行って。閉まるまでいるんです」
異様な光景だった。
死を覚悟した少年と
その死を後押しする男が
他愛もない話をしているのは。
「お腹すかない?」
……そう、だよね。
雨や風はしのげても図書館だと飲食禁止。
辛かったよね。
寂しかったろう。
「知らない人に声をかけて。小遣いねだりました」
…………!
「それから?」
「スリも、万引きも。してきました」
「バレなかったんだ?」
「そんなヘマしませんよ。けっして、やりすぎちゃいけないんです。歩ける範囲――だいたい10キロ圏内に図書館は複数あるので、一ヶ所にとどまらず。そんなことの繰り返し。どこもうちよりは。……快適でした」
これが、
わたしの知らないタクミくんの、罪。


