理解できない。 自分を傷つけ続けた母親から、はなれられない理由が。 ……すがる意味が。 「実は。一度だけ、児童相談所に世話になったことがあって。そのとき。あの女から離れるチャンスを作ろうとしてくれた――今思えば職員の鑑みたいな人がいた」 昔話のように語るのは タクミくん自身の、そう遠くないだろう過去の物語。 「縁を切るわけじゃない。お互いに離れて、ちがう環境で生活してみないかって提案された。ボクの将来のことを考えて。なのにボクは。……気持ちを押し殺した」