「健兄もあたしに対して多分似たような感情持ってくれてるんだと思う。あたしも健兄の為ならなんでもしてやりたいと思うし、望まれればなんでも答える。でも健兄はあたしにあたし以上のことを望まないじゃん?」
「…」
「二人とも男として、すげー大差ないくらい好きなんだけど、ただひとつだけ。
違うとしたらそれが湊を選んだ理由だよ。」
ただ感覚で言ってるのかと思ったけど、考えてちゃんと理屈の上で翔真を選んだことに健は驚いた。
そして、同時に“兄貴”としてとこだわっていたのはーー自分だということにも、気づいた。
兄貴だから、颯希さんの兄貴代わり。だからと、今まで振る舞ってきて未茉にもいい格好していたと思う。
もっと、本音でぶつかっていられれば、素直になれていたらな。と子供の頃からの兄貴気取りの自分を思って鼻で笑い、
「益々好きになった。」
「は?!」
思いもよらない急な告白返しに未茉は驚くと、包み込むようにぎゅっと抱き締められた。
「じゃ兄貴はもうやめて男になっていいか?」
「おう。お疲れ。」
「誰がお疲れだ。この野郎」
「あはははっ。」
なんだか可愛く思えた健を未茉もぎゅっと抱き締めた。
「ごめん。ずっと我慢させて。」
何かある度に、一番に抱きついてきたその胸に顔を埋めると、健は未茉の髪を撫でながら頭に顔を置く。
「俺はずっと自分の中でかがげてきた目標がある。王子で颯希さんの記録を抜いて、全国連覇するって。」
多分、湊ならばかがげないであろう。こんな目標は。
…それでも。
俺は、自分の夢すら叶えられない男は、好きな女の夢なんてもっと叶えられないと思ってる。
「全国でお前のこと好きな奴ら全員倒してな。嵐も湊も。」
「…」



