「男装が趣味なの?」
「いや、探検が趣味で・・・」
なはははっと笑ってごまかして立ち去ろうとするが、
「あっ!逃げたぞ!!」
「待て!!」
全力疾走で走るも、団体で追われる。
このまま校門の方に走り抜ければ、健には迷惑かかることもないだろうが・・・
「みっ・・道が・・・
校門が・・・わっかんねぇ!!!」
やはり安定の方向音痴が遺憾なく発揮されて、陸上部の連中が真後ろにまで迫っていた。
「「待てぇえ!!」」
(さすが私立の名門校!足はぇえっし!!
やっべぇ!!捕ま…る!!)
ーーグイッ!!!
腕を引っ張られた途端、覚悟を決め目を閉じると、トイレへと引きずりこまれてしまった。
バン!と個室扉がおもいっきり閉められると、
「んんっ…!!」
口元をよく知っている手で塞がれた。
「黙ってろよ。」
「!!」
薄暗い電気の中で目を恐る恐る開けると健がいた。その姿に驚いてると、
「ちくしょーどこ行った?」
「トイレか?」
廊下の方から集団が迷い止まる足音と声が聞こえてきた。
「ここじゃね?」
バタバタと入ってきた集団の足音に、
(やっべぇ………)
また祈るように目を深く閉じる。
「おーい!」
どんどん!と扉を揺らされる程、叩かれると、
「なんだよ。」
健が平然とした口調で答える。
「あ、なんだ男か。」
「っーかそろそろ戻ろうぜ。監督にキレられる」
「どこ行ったんだよあの子」
「チッ」と舌打ちしながら男達は諦めたように去っていった。



