健の制服を借りて帽子の中に髪を入れて男装しながら、扉を数センチそぉーっと開いて、廊下の様子と、辺りの人気を確認する。
「みんな部活に行ってるからか、誰もいねぇな!」
シメシメ、狙い通りと悪巧みの笑みを浮かべて歩き出す。
「王子の寮とか興味あるし、体育館もみてぇなっ!!試験落ちなかったらここに入学する予定だったし!!誰か知り合いいるかも!!」
るんっ!♪とここでも探検ぐせを発揮する未茉は、状況もすっかり忘れ、中学時代の友人に会えないかと期待に胸を膨らませる。
「うわぁ。購買でけぇ!!」
食堂の前を通ると先が見えないほどの広さのフロアがある。
「いい匂い……」
ティータイムの時間なのか、ケーキやコーヒーの香りが立ちこめてくる。
「あとで食べよーっと!!おっばさぁーん!これくださぁい!!」
「はいよ!ん?見かけない可愛らしい男の子だねぇ。」
「あ…転校してきたばっか!!」
「ああ。そうかい」
あぶねぇーと苦笑いしながらもお菓子を山ほど手にした未茉は、
「わっ!!中庭も広っ!!!天気いいしっ!!最っ高っ!!」
食堂の中庭に気づき、誰もいなかったので足を踏み入れると、テラスのベンチで散々と降り注ぐ青空の下で大の字になってのびのびする。
「やべ…眠くなってきた…」
案の定、ウトウトしてくると、
「え…女?!」
「女じゃね…」
それから数十分後、やけに辺りのざわめく声に目を覚ます。
豪快ないびきとずれた帽子から乱れたロングヘアが見えてるのを確認すると、通りかかったランニング中の陸上部の男子に覗きこまれる。
「うわぁぁあっ!!やっべ!!」
がばっと起き上がると、
「やっぱり女じゃん…」
「っーかめっちゃかわいい…」
「うちの生徒か?」
見せ物のようにこちらを伺ってくる。
そりゃそうだ。
男の制服を着た女の子が寝ているのだから。



