「ちゃんと気づいたのは最近かもな。」

「!!」
急に帰ってきて独り言に自然に返答する健に未茉は驚いて振り返る。


「お前が湊とキッチンでいちゃついてた時じゃん。っーか人の机で食べ散らかすなよな。」
食べかすをゴミ箱に捨てながら、淡々と話す。

「えっ!?そうなの?!」
「そんなこと聞いて今さらどうすんだよ。お前は俺を振ったろ?」
「そうだけど、気になったんだよ。」

「…兄貴として?」
「あ?」
「兄貴が離れてくのが怖くなった?」
「どういう意味だそれ…」

「湊と付き合うのやめてバスケに専念するのに、兄貴としての俺を失うのが怖いんだろ?」
「なんだそれ…」
「安心しろ。その心配はいらねぇから。」
冷たい表情をして机の上を片付けながら言った。

「そんなに不安にならなくても、お前から離れていかねぇよ。兄としてな。」

「あたし健兄にとってそんなお荷物な存在だった?」
「久々に颯希さんにあって不安だったから俺のとこ来たんじゃねぇの?」

「……」

心の中のモヤモヤはこれだったのか?と一瞬考えてる時も、健の真意を問うような鋭い視線に言葉が出なかった。