コンコン…
「星河、ちょっといいか?」
そこへ廊下から部屋をノックするのは、バスケ部監督でもあり担任だ。
「!?」
ガタッ…!!思わず成瀬は立ち上がり、
「ぐがぁぁぁあ~~」
大きないびきの存在が気になり慌ててるが、
「はい。」
顔色一つ変えずに健は扉を開けて廊下に出た。
「ん?なんだスゲーいびきだな。」
廊下まで聞こえてくるいびきに思わず先生も部屋の奥を覗き込む。
「ああ、成瀬ですよ。宿題しながら寝てます。」
(なに!?)
平然と嘘をつく健に成瀬は思わず勢いよく机にうつ伏せになり寝たふりをする。
ゴンッ・・!
(いっ・いてぇ・・・!)
勢いよすぎて机におでこをぶつけて涙を流す人のいい成瀬。
「そうか。珍しいな。」
とうなずくと部屋の扉を閉めて、二人の足音が遠くなっていった。
(どっか行ったか……)
「はぁぁぁ……」
なんて心臓に悪いんだ・・・と成瀬は思わず全身に冷や汗が流れた。
(ポーカーフェイスうますぎだろ・・)
さすがと言わんばかりだ。
(停学中に部屋に誰かいるとなったら、試合出場停止どころか退学もあり得る。…アイツらしくないな。分かってんのかな。
これ以上、王子のエースが試合に出れないなんてことが、万が一でもあったら……
ごくり。と思わず青ざめるも、
あの健がそんな危険を起こす相手は一体どんな奴なんだ…?)



