「ぁあ!!?んなわけ」
ふがっ!!と言いかける未茉の口を全力で田島達は塞ぐ。
「いいから反論すんな!!余計嫌な奴になるぞ!!!ただでさえお前相当嫌な奴だからな!!」
もがもがと口を押さえられながら暴れると、
「あなたにもう二度と試合できないくらいの辱しめを味合わせてやる。」
普段無表情のエマが凄まじい形相でいい放ち、ぷいっとフリースローラインへ去ってく。
そのただならぬ気迫に、背筋が凍りつくくらい原監督も選手達も言葉を失っていた。
そして後ろ姿でも分かった。
エマが全身全霊でこの勝負に挑むことを。
アンスポのファウル分のフリースローをきっちり未茉は沈め、東京ボールから試合は始まったが、
「!?」
ボールを運ぶ田島は、さっきまでの愛知とはまるで違う何かを感じた。
ジリッ…ジリと詰め寄ってくるような殺気だったエマを中心に五人の顔つきまでが違って見えた。
(まるで別のチームみたいだ…)
今までがアップだったのかと思うくらいの空気が流れていてボールを運ぶ手が少し戸惑った。
エマがみんなに何やら指示を出していて、ミスマッチで田島に水越をつけてくる。
「おい!!」
未茉が貰いに行くも、ジャイコとエマがうまくスクリーンを使ってくる。
パスを回すもののデカイ体と長い手を使いシュートを打たして貰えず、
ピー!!
「24秒バイオレーション…もったいねぇ…」
笛の声にベンチはがっかりするも、全国ナンバーワンの愛知のパワーはそんなもんではなかった。



