「停学中に女連れ込むとは、俺も中々やるな。」


我ながらあっぱれだ。と健はうんうん。と頷くと、

「おう・・・。確かにあっぱれだぜ。」

ふるふると体を震わせながら顔をひきつる未茉の姿に健はほくそ笑む。


「なんで王子の寮なんだよ!!!?」


そう。

未茉はまさかの王子学院の健の寮の部屋に連れてかれたのだ。

「お前が来るったんだろうが。」
冷静にそう答えると、
「停学中は実家だって言ってたじゃねーかっ!!!もがっ」
と怒鳴る未茉の口を手でふさいだ。

「今は部活の時間帯で誰もいねーけど、お前のそのデカイ声を誰かに聞かれたら、俺一発退学だぜ。」
耳元でそう囁かれると、何も言い返せない・・・。

「さすがに停学中に寮の部屋に女連れ込む奴はいねーだーろうなぁ。」
後ろから抱き締められ、どこか未茉の反応と、このシチュエーションを楽しむかのように笑ってる。


「別に実家でも寮でも担任に言っておけば俺の場合はどっちでもいいんだぜ。」
「随分緩い停学なんだな・・」
「学年トップの俺はせんせーの信頼も厚いからな。」
ニヤッとする健に、完全にからかわれたことに気づくのが遅かったのであった。

「やっぱ帰るぜ・・」
この状況を面白がってるようだが、バレたらただ事じゃすまないだろうと、帰ろうと忍び込んだ部屋の窓に手をかけるが、

「もう時間的にやべぇかもな。」
健が窓の外を指すと、校舎の校門から生徒達がこちらの寮へ下校してくる姿が見えた。
「あの中をけっこー顔知られてるお前が出てくのは目立つぜ?」

「いや、なんとか木の影に隠れて忍者のように移動すりゃ大丈夫だろ。」
「その発想が高校生にもなって思い浮かぶのすげーけど、もしバレたら停学だからな。」

「ぬあっ・・・!!?」