「健兄は!?」
その数十分後、走って探す未茉は和希の病室の扉を開くと、
「健兄ならもう帰ったよ。」
「ええっ!?なんで勝手に…」
「明日も来るから会えるじゃん。」
もぐもぐと向いてもらったリンゴを食べながら答える和希。
「そーだけどよぉ…勝手に何も言わずに帰ることねぇのに。」
「なんだよ。なんか話したいことあったのか?明日も来んじゃん。」
「うん…。特に用があるわけじゃないんだけどよ、なんか。」
なんかーー
執拗に追いかけちゃいけないのもわかってる。その正体不明の“なんか”が心をモヤモヤとさせている。
「ちょっとやっぱり追いかけてくる。」
外に出ると、駅に向かうバス停前で読書をしながら待つ健の姿があった。
「健兄!」
「!」
「なんでなんも言わずに帰るんだよ」
急いで駆け寄り、引っ張った。
「明日も会うだろ。」
「そうだけど」
「なんだよ。そんなに俺が恋しいか?」
「ちっ…ちげーよ!!」
「全力否定かよ。」
クラクションの音ともにバスがやって来て、くすっと微笑むと健が乗り込もうとするが、未茉がその手を引っ張る。
「待って。」
「え」
「あたしも行く!!」



