「あら健君。」
再び、和希の病室に健は一人で戻ってくると、
「未茉あと薬局で薬貰うだけなんで、俺はもう帰ります。」
「ありがとうー♡助かるわ。未茉ちゃん健君のいうことだけは聞くからぁ。」
ママのいうことなんか全然聞いてくれなくてぇ。と困った顔をしている。
「そのうち俺のいうことも聞かなくなりますよ。」
「そんなことないわ。健君はあの子にとってずっと特別よ。いつも本当にありがとう。…この前も。」
「礼には及ばないっすよ。」
当たり前のことのように、にこっとした後、
「じゃあな。和希また明日な。」と手を振り病室を出ていった。
「健兄ちゃん、明日も来てくれんのかな。」
「和希の一番のお兄ちゃん代わりだものね。」
手術前で不安だったが嬉しそうな和希にまたふふっと微笑んだ。
「あーあ。健兄ちゃんが本当のアニキならよかったのになぁ…あんな奴じゃなくて。」
「でももうすぐ新しいお姉さんができるわよぉ♪」
結納に結婚式、忙しくなるけど、楽しみぃー♡とカタログを広げ始める。
「やだよ!!あんな奴の結婚相手とかが姉さんとか考えられねぇ!!」
「未茉ちゃんとは正反対でおしとやかで家庭的そうな方でね、ママ一緒に料理とかしたいのぉ~」
「俺が欲しいのはアニキで、アネキじゃねぇから!!」
「あらっ!未茉ちゃんが健君と結婚したら本当にお兄ちゃんよ♡」
「でも翔真だろ。姉ちゃんは。」
「どうかしら~まだまだ分からないわよぉ。男と女ですものぉ♡♡」
「なんで母ちゃんが困った顔するんだよ・・。」
「まずは健君が兄を卒業するのはいつかしらねぇ。」



