「健兄、停学中なのにいいのかよ。病院出歩いて。」
「ああ。病院なら問題ねぇんだな。通院許可は出てるから。」
受付を済まし、内科のソファーで一緒に待ちながら残念でしたと見透かした笑みを浮かべた。
「お前が熱とか珍しいじゃん。」
「そうか?」
「なんかあったか?」
くしゃっとおでこにかかる髪に触れ、心配そうな目で見てくる。
「アイツが来てて…」
「颯希さん?」
「ああ。なんか悔しいけど、ごもっともなこと言われたぜ。」
聞かなくてもその横顔を見てれば分かった。どんな思いをしたのか。
「ごめんな…健兄のためにも優勝したかった。」
頭を軽く下げながら悔しそうに謝った。
「ばーか。恩着せがましいこと言うな。勝負は自分のためにしろよ。」
「…ああ。」
「なんだよ元気だせよ。」
「ん。サンキュー」
「原因は湊とのことでへこんでんのかと思ったぜ。」
「ちっ…ちげーよ!!!」
急に大声で否定する未茉に驚き、
「そういうのが原因とか思われたくねぇ。」
「ふーん。テレビで見てたけどノリにのってた京都戦と違って愛知戦はアイツボロボロだったな。」
「知らねーよ。あたし寝てたし。」
「お前次第だからな。アイツのエンジンは。」



