「っーかよ、アイツの婚約者だって知ってたんなら言えよ!!あたし警察で知ってすげぇ驚いてだろ。」
「だってぇ未茉ちゃん嫌がるじゃない。お兄ちゃんの話ぃ。」
「だけど普通言うだろ!!あたしの監督ならっ!!!」
「健君にね、国体終わるまで黙っててくれって言われてたのよぉ。未茉ちゃん試合どころじゃないと思ったんじゃない?」
色んなとこで気を回してくれてんだなと、改めて健兄の優しさが染みてくる。
“未茉に何かあったら俺が殴ってた。”
(顔見たらまた気持ちぶれそうだぜ…ったく。)
「あらっ!健君!」
そんな予感の中、和希の病室の扉を開けると和希と話す健の姿があった。
「おっわっ!!健兄ぃ!!」
心の準備なく思わぬ登場に未茉は驚いてしまう。
「なんだよお前。今嫌な顔しただろ。」
「し…してねーよ!!!」
「めちゃくちゃ動揺してんじゃねーか・・」
「っーか…ごめん。国体初戦…」
そういいかけると、ピンッ!とおでこをデコピンされ、
「いってぇ!!」
「もっと練習しろ!ばーか!!」
ははっと笑ってあっさりとしていた。
(怒るわけないか…。)
くらったおでこを押さえながら健を見て無駄な心配にため息ついた。
「そーだよ!姉ちゃん、明日まで試合があって俺の手術には姉ちゃんは立ち会えないと思ってたんだからな!!早く帰ってきやがって!!」
二人のやりとりを見ながら和希は嬉しそうに屁理屈を叩く。
「ん?つーかお前熱っぽくね?」
デコピンした手の温度の違和感を感じ、おでこをもう一度触れる。
「大丈夫だよ!寝てりゃ!!」
「もう!!未茉ちゃんってば!!ママのいうこと聞いてくれないんだから!!健君悪いんだけど、内科一緒に連れてってくれる?」
「いいっすよ。」
「ゲッ・・。」



