「清二さんも自分を責めてたよ。あんなに追い込んでしまったのは自分だって。あれ以来、颯希さんにバスケのことを一言も言わなくなった。
でも結果的にそれがよかったのが、王子学院のバスケがフィットしたのか分からないが、元々基礎がしっかりしてる分、二年になる頃に急成長をした。」

「確か、王子学院インターハイ3連覇してますよね。」
「ああ。一年の時からインターハイ優勝してるし、二年からエースとして活躍してそこからタイトル総なめ。幼少期とは見違える程だった。遅咲きのヒーローだったが、白石清二のサラブレッドって言葉がようやく定着して今に至る。」


「颯希さんのインタビュー誌とか読んだことあるか?」
「いや、ないです。」

「“努力は才能に劣らない。”
我が王子学院の部室にも掲げられてる座右の銘だ。颯希さんの言葉だ。」

「…」

「多分未茉には負けたくないと死ぬ程の思いで努力してきた。どんなに父親と比べられても誹謗を受けても腐らずにただバスケだけと向き合ってきた。それが今の颯希さんだ。」

素直にそれは凄いと思った。あの偉大すぎる親のプレッシャーを一人で背負ってきたのだから。


「だからか未茉が負けたりすると才能だけでバスケしてるからだとか、嫌み吐くよ。」

なるほど。それでか。と翔真の中での全ての疑問が府に落ちた。
ただあまりにもそれには歪みがあったが。