結局、相手にもならなかったその男の子のことはよく覚えていなかった。
“なんだたいしたことねーな。”
といい放って去りながら、後ろからすすり泣きする声は聞こえてきたが…


「あのガキがやっぱり翔真なのか…?」


“その女そんなにつえぇなら全国のどっかの会場で会えんじゃね?国体とか。”
“かもね。”

“後にも先にも俺あんなに可愛い子にはもう出会えないだろうな。”


その時、前に話してた翔真との会話が、莉穂から送られてきた動画の翔真のベストカップルの告白とリンクした。


“ずっと、ずっと好きだったんです。振り向いて貰えなくても、あんないい女を諦めるなんて、俺にはできない。”




「あれはーーあたしのことなのか?」


(だとしたら、翔真はずっとガキの頃からあたしのことを好きだったってことかよ…)


「お前だろーが!!!気づけ!!!」
至近距離で指差して怒鳴られるが、

「だってアイツ、あたしじゃないみたいな言い方だったぜ?!」
「気づいてほしいんだろ!?そういう奴だろ!?なんでてめぇはアイツのことこれっぽちもわかんねーんだよ!?」

「…!?」