「あのブス女(静香)も10番(ユリ)もだいぶ後半落ちてるしな。」
見透かした不破がそう指摘するように、
(こんなに苦しい相手生まれて初めてかもしれない。まだ開始4分でこの汗の量も今までない。)
最後まで同じペースでの体力が持つかユリは水分補給をしながらベンチでかすかな不安が過った。
「…」
神崎も教え子のそんな様子に気づかないわけじゃなかったが、ユリをここで休ませるわけにはまだいかなかった。
腫れた耳を押さえながら涙目の未茉はコートに戻ってく。
(さしあたって白石のスタミナはなんの問題なさそうだな・・・。一年のくせにある意味凄い。夏の予選よりもスタミナついてきたな。)
田島は呆れた顔で見るが得点板を見上げた。
「12点差か…」
「お前のせいで怒られただろ。」
そしてコートに戻ると、やっぱり文句を言わなきゃ気がすまない未茉はエマを睨むも、涼しい顔をしていた。
「プレイヤーとして足元に及ばないって言うなら、なんであたしにそんな突っかかるんだよ。」
「…」
「嵐の幼馴染みだからか?」
試合再開のブザーが鳴ったと同時に、エマは思いっきり未茉の頬を叩いた。
パシーン!!
コート中に響き渡る平手打ちに一瞬、その場は凍りついた。
ピーピー!!
審判はすかさずエマに対してアンスポーツマンライクファウルを取った。



