“男子の試合見に行かへん?”
“ああ。微熱あるしな。移したらまずいし。”
“せやな…湊は未茉が来た方が喜ぶやろうけど、ゆっくり休んだ方がええかもな。”
時間になると静香は男子達の応援に行った。
未茉はベッドで横になると、ふとおもむろにスマホを手にして
“国体が終わったら見て”と莉穂に言われた動画をクリックした。
「静香、白石は?」
ホテルの入り口でアリーナへ応援に向かうために女子が集合し、遅れてやってきた静香に田島は訪ねた。
「まだ熱あるので寝てますわ。」
「そっか。アイツなら熱あっても応援に来そうなのにな。」
「気持ちの切り替えできてないか。」
「らしくないようで、妙に責任感強いからな。あいつは。」
「いや、一年の白石をあそこまで頼りしたあたしが悪い。負けて当然だ。本当悪いことした。」
キャプテンの田島も自身の不甲斐なさに一睡もできなかったのか、顔色も優れずクマを作っていた。
複雑な思いが伝わり、女子一同は静かにアリーナへと移動を始めた。