「結局負けたじゃねーか。」
がっくりと肩を落とし不機嫌極まりない未茉は、荷物を背負って代々木体育館をあとにした。
「まぁ、そんなすぐには全国優勝とはいかないよ。」
初戦の優勝候補の名古屋第一とぶつかった明徳男子は二回戦にもうひとつの優勝候補の洛北と当たり男子も、負けてしまうも翔真はこんなとこだと納得した顔をしている。
「おまっ…!仕方ねぇよみたいな顔すんなよな!!勝ち進んで嵐とも戦うはずだったのによ!!」
「うん。でもま、一歩一歩だよ。まずは全国でスタートラインに立てたんだから。これからだよ。」
「呑気だなぁっお前は!!あたしなんて岐阜高に負けて悔しくて仕方ねぇのに!!」
明徳女子は、初戦から優勝候補の岐阜高校に当たってしまい負けてしまったのだ。
「女子もインターハイまで練習すれば大丈夫だよ。まだあと半年あるよ。」
この数日ですっかり街を白の情景と変えてしまった粉雪を降らす空を見上げ、思い馳せると白い息が昇る。
「おっとりしやがって!来年は、絶対に嵐を倒せよ!翔真!!」
「う…うん。まぁ…」
「なんだよその気の抜けた返事は!!来年嵐倒さなかったら別れるからな!!!」
「え・・・。」
ほんの昨日付き合ったばかりなのに、もうプレッシャーをかけてくる彼女に青ざめる翔真。
「当たり前だろ!あたしも来年には名古屋に勝って優勝してみせるぜ!!」
「…うん。一緒に表彰台めざすかな。」
「かな、じゃなくて目指すの!!」
相変わらずの緩い返事に未茉は、翔真の腕を引っ張りジャンプして怒ると、
「あー…。次の夢もでかいなぁ。」
果てしない試練に苦笑いを浮かべるも、未茉がすぐ隣にいてくれるという夢が現実に変わったことに、
「本当に俺のものなのか実感わかないな…」
確かめるように優しく温かい目で未茉の寒さで潤んだ目を覗き込むと、真っ白な雪粒が落ちる彼女の頬に翔真は手を伸ばし、その奇跡を手繰り寄せるように抱き締めた。
そんな翔真の腕の中にすっぽりと埋もれながら、くすっと微笑む未茉は、
「あたしのものだけどな。お前は!」
「ああ・・そうでした。」
交じり合う吐息と絡める手と、白く積もる街の雪道に二人の足跡が重なりあって伸びていき、
やがて未茉が翔真に抱きつき、おんぶをせがむと荷物を振り捨てじゃれ合う二人の影が伸びていた。
いつまでも。
TIPOFF!#LOVE WINTER #HAPPYEND♡
ー野いちごver.完結ー Thanks!!
近々新作と来年は続編も公開致します!
お楽しみに♡