「「うぁぁあああああっ!!!」」

会場を揺らす程の声援が地鳴りのように響き渡る。
「ちょっとどいて!!」
通路の立ち見で溢れる人達を掻き分けて、
ダンダンッーー!!
急いで階段を降りて行くと、

第4Q残り二分
明徳78対86名古屋第一

「八点差…!!!」
眩しい無数のライトの下の得点版を見上げた。

「あー!!また名古屋第一のフリースローだ!!こりゃ勝負ついたな!!」
観客席の人達が嘆いていた。

「明徳の6番が結構いい勝負見せてくれてたけど、やっぱり番狂わせはないな。」
「ああ。今年も決勝は名古屋第一と福岡だな。」
「っーかそれが一番観たいしな!」
あっはははっと目の前で笑い出す男共のメガホンを取り上げて、

バコンバコンッ!!!と、未茉は上から横に並んだ男達の頭を叩く。
「「イッてぇ!!!」」
涙目になって男達は振り向くと、

「ばぁかっ!!!!今年は明徳が勝つんだよ!!よく見とけ!!」
仁王立ちになり威張る未茉に、

「「え・・・。」」

「っーか、メガホン持ってかれた・・」
「てかあの子どっかで見たようなぁ・・」
あまりの衝撃に言葉を失いポカーンと口を開いたまま呆然としてる中、

「ちょっとなによあの子」
「いたっ…」
狭い通路で人にぶつかり嫌な顔をされるのもお構い無しで会場のスタンドギリギリまで未茉は降りていき、コートを見渡した。