「ほっんと信じらんねぇ…普通大事な決勝戦の朝に女の見送りになんか来るか?!頭イカれてるだろ。」

荷物検査を終えた田島が呆れながら言った。


そんな翔真の心配など全くせずに、フードコートで静香とバクバクとご飯を頬張る未茉を尻目に開いた口が塞がらない石井だったが、

「だけど羨ましいなぁ。あんなに想ってくれる人がいるっていうのは。純粋に。でも白石っーのかなんかムカつくけど。」
気持ちに少し矛盾はあるものの、本音はちらりと吐く。
「まぁ…そうかもね。」
田島も色んな自分の気持ちを思い馳せてそう呟いた。

「あぁー野村監督に一応連絡しておかないと…こっから会場間に合うのかな?」
事実を知ってしまい教師としては頭痛いと電車を調べてると、
「九時半からだからまー、ギリギリだなぁ。ざまぁ。」
当然大成びいきの田島達三人は明徳のエースがどうなろうと知ったこっちゃない。


一方、その頃翔真は、


ピーンポーン…
『只今、停止信号が出た為、電車が止まっております。お急ぎの皆様には大変ご迷惑おかけしますが電車到着まで暫くお待ちください。』

「え・・・・。」
成田空港駅内にて、会場へ向かう電車を待つホームで足止めを食らい、

「やべ・・間に合うかな・・。」

シャレにならない状態であった・・・。