その後の監督と二人のことも気にはなったが、未茉の後を翔真は追った。
方向音痴の未茉を気になったが無事にホテルまで走りついていた背中に追い付く。



「…翔真、わりい。」

足を止めた地面には、ぽたぽたと未茉の涙粒が溢れ落ちてく。

こんなに静かに泣く未茉の後ろ姿を翔真は初めて見た。
誰かに何か言われて声を押し殺すようにこんな静かに小さく小刻みに肩を震わせて、悔し涙を流すような子でもない。

いつもなら…泣き叫びながらも反論して殴り合うその姿と違いすぎて…


「わりぃけど、帰って。」
「……わかった。」

なんて言葉をかけたらいいのか分からなかったわけじゃない。
ただこれ以上踏み込むな。と言われた気がして、翔真も苦しかったがゆっくりと歩き出した。

「っ…う」
ヒクッとした泣き声が聞こえて思わず振り向くと、
未茉は泣き崩れるように背中を丸めてその場に座りこんで泣いてる後ろ姿を見たら、駆け寄らずにはいられなかった。